産地としての山形の染めと織りは?

産地としての山形の染めと織りは?

白鷹御召(しらたかおめし)

白鷹御召は、山形県白鷹町で織られています。生産量は少ないですが、板締め技法による経緯絣の絹織物になります。特徴としては、小絣と呼ばれる精緻な絣柄や独特の大きな凹凸地になります。白鷹では紬も生産されていますが、白鷹御召は絣部分に強く撚った糸を使います。

絣括りは、板締めでおこないます。ブナ材の薄い板に溝を彫り糸を巻き付けて、平らなもう一枚の糸を重ねてきつく締め上げていきます。これをいくつも重ねてボルトのついた押し木でさらに締めて、染め舟という台に乗せて熱した染料を注いでいきます。この染め方は、ぶっかけ染と呼ばれています。板を解きますと、溝の部分の糸が染まり絣糸ができます。

絣糸の設計は、板大工が方眼紙に図案を引いて、絣板の溝を彫っていきます。この板大工も板に糸を巻いて締める絣の決め手はもちろん、細かい絣柄の柄合わせをしながら一反に一ヶ月がかかる織り手どちらも熟練の技が要求される仕事になります。

織り上がった御召の反物は、ぬるま湯につけてシボ出しをしますと、シャリ感のある鬼シボの御召地が出来上がります。袷にももちろん使いますが、5〜6月や9月に着る単衣にふさわしい織物になります。

置賜紬(おいたまつむぎ)

山形県の米沢市や長井市、白鷹町で生産される総称になります。米沢紬や白鷹紬、長井紬、米琉、紅花紬があり、いずれも先染になり、糸を先に染めてから織る織物になります。

置賜紬の歴史は古く、八世紀に遡ります。江戸時代の中期に藩主である上杉鷹山が、織物や養蚕を奨励したことで産地としての体制が整いました。

米沢市は、米沢藩の城下町で上杉鷹山の頃から絹織物の産地として盛んになりました。淡い色合いの趣のある紬が沢山作られました。植物染料として藍や茜、楊梅、刈安といったものがよく使われています。また、ぜんまい織や科布、和紙と絹糸で織った紙布織は、趣味的な織物として取り組む工房が多くあります。また、廃れてしまった紅花染を試行錯誤のすえ甦らせ、米沢紬ではなく紅花紬として呼ばれるほど今では、人気になっています。

長井紬の特徴としては、絣織になります。緯糸だけで絣柄を織る緯糸絣や経糸と緯糸で柄を織る経緯絣の両方があります。紬は、染め残したい部分に、別の糸を巻いて括る手括りによって絣糸を作り出します。柄ゆきは、麻の葉や亀甲といった古典的な大柄が主流になり、色づかいとしては紺や鼠、茶といった地味めのものになりますが、すっきりとした品の良さが漂ってきます。また、琉球の織物に影響された絣柄も発達して、井桁や鳥といった模様は、米沢藩で生み出された琉球風の織物という意味で米琉(米沢琉球)と呼ばれています。白鷹紬は、白鷹御召と同様に絣糸を板締めの技法で染色して、十字絣や亀甲、蚊絣といった小絣になりあっさりとした趣があります。

なお、米沢は、男性用の無地紬や縞織の袴地の生産地としても有名です。置賜紬の産地は、昔から織物の産地として全国に知られています。