赤系の日本の伝統色

赤系の伝統色

ひと口に赤といっても、赤の中にもさまざまな色相があります。赤の象徴でもある「火、陽、血」は人間にとって生命の根源をイメージすることができ、そのため神聖な色でもありました。

朱色

朱色

朱色は、赤系の色の中で代表的な色になります。わずかに黄色がかる鮮やかな色は、輝く太陽の色ともいわれます。日本では縄文時代の頃から使われていて、古墳の壁画に見られる朱色が古代の赤色の美しさを伝えており印象的な色になります。
紅色

紅色

紅色は紅花を使って染めます。原産地としてはエチオピアからエジプトあたりになり、紅花はキク科の植物です。黄赤の花を夏に咲かせて、その花びらが紅色の染料になります。紅花はまず中国に伝わり、そこから日本に伝来してきました。
桜色

桜色

桜色は、日本人には最も馴染みある色です。咲きそろった満開の桜で、ほんのりと色づいたものを桜色と呼びます。かつては山桜のごく薄い桃色を桜色と呼び、今では染井吉野の花の色をこの名で呼びます。
橙色

橙色

明るい黄赤色になり、橙になる実の表皮から名づけられたものになります。橙はミカン科の常緑小高木になりインドやヒマラヤ原産で、樹高として3メートルにもなり、初夏に白い小さな花をつけます。
猩々緋色

猩々緋色

猩々緋は虫から採った染料で、鮮やかな黄色みがかった赤色になります。日本にやってきたオランダ人やポルトガル人によってもたらされた数々の珍品の中に、鮮やかな深紅の毛織物がありました。それが猩々緋と呼ばれていました。
臙脂色

臙脂色

臙脂は「燕支」とも書き、中国にある燕支山に咲く紅花を何回も染めて重ねることで濃い色をだしたという説があります。色素を沈殿させることで真綿に染み込ませたものを燕支と呼んでいました。

紅色ができるまで

紅花の花びら乾燥させ、それを一晩水に浸しておき、翌朝にざるですくい押し搾ると、濁った黄色の色素が汁となって流れ出ます。これを七回ほど繰り返して、花びらから黄色い汁が一滴も出なくなるまでおこないます。

藁灰から灰汁を作り、紅の色素を抽出するために使います。藁を燃やして、黒灰の状態で止めます。樽に藁灰を入れて、熱いお湯を上から注ぎ入れます。それを二日間寝かせることで、強いアルカリ性の灰汁ができ上がります。

藁灰から作った灰汁に入れて、紅の色素を採取します。この灰汁の中で乾燥させた花びらを両手で半時間ほど強くもみますと、花びらから色素が出ます。

灰汁の中でよくもみ紅花の花びらを絞ることで色素を抽出します。そして最後に搾り機にかけて押し搾ることで、貴重な色液を最後の一滴まで無駄にせずに抽出します。こうして得た染料を使い糸を染めます。