文様に込められた意味を知ると着物がもっと楽しく

着物の文様の季節感について

着物の文様には季節感が表現されている

日本には四季があり、その移りゆく季節に合わせた草花や景色といった自然の恵みを、着物の文様や色に取り入れて表現してきました。柄や色で表す着物なので、コーデネイトの一番の悩みとしては、着物に描かれている文様や色の合わせ方についてではないでしょうか。

「この文様は今の季節に合わせて大丈夫なのか?」といった悩みを解決するのためにも、季節に合わせた着物の文様について紹介します。

着物の季節の文様

世界各国にも美しい四季はもちろんありますが、春夏秋冬、春分や夏至といった二十四節気、さまざまな言葉を用いて季節の変化を表現しながら、感性や美意識、自然との共存などを日本人ならではの感覚で生かされています。

着物の文様には、何らかしらの意味合いを持っています。 そして、縁起の悪いものは存在していません。

春には、生命力の力強さやはかなさを、夏には、夏を感じさせる昆虫や生き物、涼しさを、秋には、美しい色合いを、冬には、寒さを耐え忍び、そして春の到来を心待ちにする、そういった気持ちが文様に込められています。

そんな、日本人が古くから大切に扱ってきた着物の文様を、今回は春夏秋冬別に紹介していきます。

春の文様

  • 桜の文様

    基本的に写実的に描かれたものを除いて、桜は通年使われる文様になります。ですが、桜自体は春の花になります。春に積極的に着たい文様になります。

  • 菖蒲
  • 菖蒲の文様

    勝負や尚武(武士の心得)にかけて、とくに武に生きる人に好まれた文様になります。延命長寿や魔除けといった意味もあります。

  • 藤の文様

    家紋によく用いられる藤ですが、長寿や繁栄、強運といった意味があります。

  • 牡丹
  • 牡丹の文様

    振袖や礼装に多く用いられるのが牡丹です。その豪華さから、百花王とされ、幸福や富貴の象徴になります。

  • 立ち雛
  • 立ち雛の文様

    3月3日のひな祭りの装いになります。

  • 散り桜
  • 散り桜の文様

    桜の散るころに用いられるのが散り桜の文様になります。

  • 春秋
  • 春秋の文様

    春と秋の草木や花が一緒に描かれた文様になります。春と秋に着られる文様になります。

夏の文様

  • 柳の文様

    生命力の強さと解熱、鎮痛効果のある枝葉といったことから、災いから身を守る吉祥文様とされてきました。

  • 沢瀉(おもだか)
  • 沢瀉の文様

    池や沼などに自生する水草になります。平安時代ごろから文様化されたもので、紋章としても武家に用いられてきました。

  • 千鳥
  • 千鳥の文様

    文様でいう千鳥とは、チドリ科の鳥の総称になります。ゆかたや工芸品によく用いられています。

  • あざみ
  • あざみの文様

    深い切れ込みと棘のある葉と丸い花が特徴になります。江戸時代以降から使われている文様です。

  • 葦の文様

    チドリや波、船、白鷺と一緒に用いられています。別名として葦(よし)とも言われます。

  • 芭蕉
  • 芭蕉の文様

    松尾芭蕉が俳号に用いて、庵に植えたとされる植物です。紅型や夏帯などの文様に使われています。

  • あじさい
  • あじさいの文様

    日本固有の花でもある紫陽花です。万葉集にも詠まれ、江戸時代から文様化されて今はゆかたや帯に多く見られます。

  • 百合
  • 百合の文様

    桃山時代の能装束にも用いられますが、昔も今も、写実的に表現されています。

  • 麻の葉
  • 麻の葉の文様

    破れ麻の葉など文様化されて用いられることが多く、魔除けや世知用祈願の意味があります。

  • 鉄線
  • 鉄線の文様

    能装束の文様にもなっています。堅い蔓と六弁の花びらが特徴になります。

  • トンボ
  • トンボの文様

    トンボは、勝虫とも呼ばれ、武士の武具によく用いられています。現在は、ゆかたの定番の文様になります。

  • すすき
  • すすきの文様

    古くから愛されてきた文様で、万葉の時代からあります。夏から秋にかけての文様になります。穂がでたものを尾花とも呼びます。

  • 女郎花(おみなえし)
  • 女郎花の文様

    秋の七草のひとつになります。思い草ともいわれ、万葉集をはじめ多くの歌に詠まれたいます。夏から秋の文様になります。

  • 撫子(なでしこ)
  • 撫子の文様

    秋の七草のひとつになります。鎌倉時代から調度品や衣服の文様によく使われています。

  • 桔梗
  • 桔梗の文様

    これも秋の七草のひとつになります。桔梗紫と呼ばれるほど美しい色です。夏の訪問着や小紋、帯に用いられてきた文様です。

秋の文様

  • 紅葉
  • 紅葉の文様

    紅葉にも種類があります。紅葉がかったものは、秋に用いられる秋の文様になります。緑の楓は春に用いられます。秋や春のものが混ざっているのは、春秋楓文といった兼用になります。

  • 菊の文様

    菊は長寿でもある吉祥文様として愛されてきました。秋の花ですが、通年着られる文様になります。

  • ざくろ
  • ざくろの文様

    ざくろは種子が多く、子孫繁栄や安産の象徴として用いられます。また、鬼子母神が右手に持っているのもざくろになります。

  • 吹き寄せ
  • 吹き寄せの文様

    落ち葉や落花が地面に吹き寄せられた様子を文様化したものが吹き寄せになります。適した季節は、晩秋ですが、桜や菊があるものは通年柄になります。

冬の文様

  • 雪持ち梅
  • 雪持ち梅の文様

    雪が積もった様子を雪持ちと呼びます。雪の白さと梅の紅の対比が美しくあります。染帯に多く用いられています。

  • 椿
  • 椿の文様

    春の到来を告げるものとして好まれています。古くから染織品の文様として用いられてきました。

  • 雪持ち笹
  • 雪持ち笹の文様

    雪の重みに耐えながら、跳ね返す機会を待つ笹が描かれています。その笹には命の力と春を心待ちにする思いが込められています。

  • 南天
  • 南天の文様

    南天は、難を転ずるということばにかけて、縁起のよい幸せを招く文様として用いられてきました。

  • 蘭の文様

    写実的な表現のほかに、松や竹、梅と組み合わせて四友になります。梅と菊、蓮で四愛になります。竹と梅、菊で四君子文様になります。

  • 梅の文様

    日本人にとても馴染みがあり好まれる梅。枝付きの梅は正月から立春にかけて用いられています。

  • 十二支
  • 十二支の文様

    吊るし飾りの十二支は正月の装いになります。

  • 竹の文様

    松竹梅は吉祥文様になりますが、竹単独でも清和の証として文様に用いられてきました。

通年の文様

  • 松竹梅に鶴亀
  • 松竹梅に鶴亀の文様

    縁起のよいものでよく使われる吉祥文様を組み合わせた文様になります。

  • 露芝
  • 露芝の文様

    芝に露が降りた様子を三日月の形と丸い露の玉で表現した意匠です。

  • 唐草
  • 唐草の文様

    唐草は、ぶどうや菊、蔓など組み合わせて、さまざまに表現される文様になります。

  • 青海波(せいがいは)
  • 青海波の文様

    波や水を連想させる文様は夏に着られます。ただし、波頭を幾何学模様に表現しますと通年着られる文様になります。

  • 桐の文様

    もともとは、皇室専用の文様だった桐文ですが、鳳凰と組み合わせることで吉祥文様になります。桐単独でも格上の文様とされています。

  • 遠山
  • 遠山の文様

    中国伝来の山水画を写し取った文様になります。霞にけむる遠くの山を穏やかな曲線で表現しています。

  • 四君子
  • 四君子の文様

    古来中国では、梅、菊、竹、蘭の4つは徳のある草木と考えられていました。礼装用に用いられる吉祥文様になります。

  • 雪輪
  • 雪輪の文様

    雪の結晶を文様化されたものになります。夏に着て清涼感を演出したり、季節を問わない図案の一部として用いられることもあります。

まとめ

全ての文様においてポジティブな解釈で意味を見出しています。これらは日本人ならではあり、自然への接し方から生まれたものかもしれません。自然と共存しながら、先人たちは学び、知恵と豊かな美意識によって文様が生み出され、文化として発展しました。文様が持つ美への追求と遊び心。着物の楽しみ方は、文様を知ることで広がっていきます。

文様は、単独で意味を持ちますが、着物と帯の文様の組み合わせることで、それぞれの持ち味を高めることができます。 色調はもちろんですが、文様をうまく組み合わせることで、自分の気持ちや相手に対する心遣いを表現することが出来ます。