着物ちゃん
素材や模様、柄の置き方によって着物の格付けがされます。着物の格とは、要は着物を着るための約束事のことです。
この格が着物を難しくしているのかもしれませんが、今回はそんな着物の格を簡単に見分ける方法を紹介していきます。
管理人
着物を着る場合には、TPOに相応しいものを選び、着物と帯の格を揃える必要があります。約束事であり、一緒にいる人への配慮でもあります。
この着物の格を把握することで、場に適した着物を選べるようになりますし、帯や和装小物などのコーディネートに対して良し悪しが判断できたりと着物に対する見識が深くなっていきます。
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問い合わせは無料で簡単にできます着物の格の見分け方
基本的な見分け方としましては、「織りではなく染め」「絵羽模様」「古典模様」「紋の数が多い」などの条件に当てはまるほど格が高くなります。
染めか織りか
着物は、やわらかものと呼ばれる染めが、織りよりも格上になってきます。染めの着物は、留袖、振袖、訪問着、色無地、付け下げまでの礼装と小紋になります。
そして、それらの着物に刺繍がされていたとしても、地が染めであれば格が変わりません。織りの着物の紬に絵羽模様を柄付けした訪問着や振袖は、正式な式典や儀式では礼装にはなりませんので注意が必要です。
京友禅
日本がのような多彩な染め模様に、金彩や刺繍で装飾を施した絢爛豪華な京友禅。約20種の工程を分業でおこないます。
加賀友禅
友禅染めの一種。京友禅が内側から外側にぼかしをかけるのに対し、加賀友禅は外側から内側にぼかしを入れるのが一般的な特徴です。
箔置き
金や銀を細かく砂子状にした金砂子を布地に貼り付けて模様を表す方法です。箔押し、摺箱とも呼ばれます。
京鹿の子絞
京都で生産される絞りの総称になります。礼装の振袖や訪問着、帯揚げなどに用いられる、大変贅沢な技法になります。
琉球紅型
南国の自然の美しさを瑞々しい色彩で表現した、型染めの琉球紅型。藍一色のものを藍型(えーがた)と呼びます。
型染め
型紙を使って染める技法。なかには手描きのものもありますが、小紋や更紗、江戸小紋に用いられる技法になります。
柄付け
格の高い順でいうと、留袖や訪問着のように縫い目で柄が繋がる絵羽模様、どこから見ても柄が上向きになっている付け下げ、柄が上方向と逆向きになったものとが混在する小紋の順になります。柄の向きを確認することで、付け下げなのか小紋なのかを判断することができます。
飛び柄
無地場が多い、古典柄の飛び柄小紋は、帯の格を上げれば改まった装いになります。染めの名古屋帯といった気軽な帯にすればお洒落着となります。
モダン柄
少ない色数のものや、ぼかしを効かせた小紋はモダンな雰囲気になります。洋服感覚でお洒落な装いが合います。帯の雰囲気でよそゆきや遊び着になります。
カジュアル柄
格子や太縞、ポップな柄の小紋は遊び着になります。帯の格を上げると、かえってちぐはぐな印象で改まった場所には不向きとなります。
文様
古来より、日本人は模様に対してさまざまな思いを込めてきました。着物に関しても同様で、着る人の祈りや願いを表すだけでなく、遊び心や教養などを表現したものまであります。着物にしか見られない模様もあり、ここでは代表的なものを紹介します。
幸せを祈るおめでたい模様
幸せを祈る心は、人の本性に深く結びついています。それゆえに、いろいろな現象や事物に対して生活の中から、おめでたいとされるものや形、色がさまざまな形で生み出されています。
幸せへの表現や祈り、幸福であることの歓びなどさまざまです。体で表現したり、ものの形や色で表すのが一般的で、いずれも昔から変わることなく表現されてきました。その中でも、吉祥模様は工芸意匠として代表的なものになり、衣服にとりわけ多く見られます。
着物で使われている吉祥模様を分類してみますと、おおむね二つに分けることが可能です。
一つは、中国から伝わり、その後、吉祥模様として定着したものです。飛鳥〜奈良時代に、中国文化の影響を強く受けました。さまざまな文物がもたらされ、中国で古くから使われている龍や鳳凰、雲気などの模様もそのときに伝わりました。
平安時代になると、中国からもたらされた吉祥模様に対しての見直しと和様化が行われました。その中でも長寿を象徴する鶴と亀の模様は、日本ではことのほか愛されて、吉祥模様の中心的な存在として繰り返し意匠化されました。
われわれになじみ深い松竹梅模様も中国から伝わりましたが、そもそも中国においていずれも吉祥の意味が強いものでありませんでした。中国では「歳寒三友(さいかんさんゆう)」と呼ばれ、寒中に耐えて凛とした松竹梅は、節操と清廉の象徴でした。
ですが、日本では、松竹梅のイメージが時代とともに良くなり、近世になって吉祥模様としての性格が強まっていきました。
もう一つは、純国産の吉祥模様になります。たとえば、日本で生まれた吉祥模様の代表的なものである橘です。橘(ヤマトコミカン)は、東方の遠方海上にあるとされる理想郷「常世国(とこよのくに)」からもたらされる果実になり、長寿になり、さらに元気な子供をもたらしてくれると信じられていました。
ちなみに正月の鏡餅の上にみかんがあるのはそのためです。また、橘が婚礼衣装であったり掛け袱紗などに意匠化されているのも、こうした由来からきています。
また、江戸時代に吉祥模様として意匠化されるようになったものがあります。御簾や几帳、御所車、檜扇、冊子といった王朝風モチーフのものです。
古き良き時代としての平安時代への憧れが、江戸時代の人々に生じたことで、王朝時代を連想させるモチーフに吉祥の意味合いを含ませるようになったと考えられます。優雅で華やかな意匠は、しばしば婚礼の衣装に使用されていました。
日本人の感性が育てた季節感のある模様
四季の違いや移り変わりに強い関心をもっていて、動物や植物、自然現象などをモチーフにした模様や色を季節に合わせて使用しています。
たとえば桃山時代の頃の着物には、四季それぞれの植物や季節ごとにまとめられていたり、取り混ぜられたものが一つの衣服に表されています。春だからといって桜やたんぽぽであったり、秋だから菊や紅葉だけというだけではありません。
むしろ、春と秋の植物だけでなく、百合や椿といった夏や冬の植物も一緒に表されて、四季すべてのモチーフが取り揃えられているのが普通です。これらを四季模様と呼んでおり、小袖や打掛だけでなく、能装束のような芸能衣装にも見られています。
想像にはなりますが、当時の人々がその模様に求めたものは、季節感というよりかは自然のもつ生命力を表したかったのではないでしょうか。
こうした模様は、四季すべてのモチーフを同時に表現することに意味があったと考えられます。たとえば、「四季草花模様段片身替小袖(しきくさばなもようだんかたみがわりこそで)」は小袖の背面ですが、4つに区切ってそれぞれの区画に四季を代表する植物を配置しています。
また、「白地草花模様肩裾縫箔」であれば、肩と裾の区画に四季のさまざまな植物が詰め込まれています。
植物をモチーフに季節感を表現
日本には季節ごとにお祭りや儀式、習慣が多く存在していて、これらを生活の中に受け入れることで、生活にメリハリをつけていました。
これらを社会や他の人と共有するために、その季節や時節を感じさせる模様を着物に表して使っていました。こうしたことから、日本の染織に見られる四季の表現は、複雑で実に多様なのです。
古典模様
吉祥文様や正倉院文様、有職文様など伝統的な古典文様は格式ある雰囲気になります。同じ小紋でも古典文様はよそゆき着として改まった場所で着ることができます。
光琳模様
江戸時代に活躍した尾形光琳や尾形乾山、俵屋宗達などは、同じような傾向の表現方法を用いており琳派と呼ばれていました。なかでも、富裕層に人気だったのが尾形光琳で、自分の小袖に個性的な作風の絵を描いてもらうのが流行っていました。
中流階層以下の人たちは依頼することができないため、なんとか光琳独特の明快で装飾的な表現を小袖にと、さまざまな模様のアイデアを生み出すことになります。それが光琳模様につながります。光琳の最も典型的なモチーフは、梅です。やがてこれに桐や菊、松、水、扇などが加わって模様は多様化していきます。
文様について興味がある人は、下記の記事を参考にしてみてください。
着物の文様の意味を知らない?!着物好きにこそ知って欲しい文様の意味紋の数
格が高い順に五つ紋、三つ紋、一つ紋となります。黒留袖と喪服は必ず、染め抜き日向五つ紋をつけます。色留袖や色無地、江戸小紋は紋の数により格が変わります。振袖、訪問着、付け下げは紋を付けないのが今の主流になります。洒落紋はお洒落用になりますので、紋を付けても格が変わることはありません。