着物ちゃん
着物の価値ですが、使われている生地の品質によって判断されます。木綿やポリエステルの着物よりも絹の着物のほうが高価になってきます。
生地の品質を見抜くことによって着物の価値を判断することができるようになりますので、知っておいて損はありません。
管理人
着物はどれも似たように見えますが様々な種類が存在しています。そんな着物に合わせた多種多様な生地が使われています。成人式や卒業式で多く着られる振袖の生地が絹であったり、普段着として着られる着物の生地がウールや木綿だったりと、着る場面によって変わってきます。
着物が出来上がるまでには、糸を作り、染め、織りという様々な工程を経て着物という衣類に仕立てあげます。そして、着物に必要な生地の素材としてもいくつも存在しており、仕立てられる形状や使われる素材によって異なってきます。
生地についての知識が増えますと、着物への興味や関心が深まって、着物がより楽しくなると思います。今回は、代表的な生地や見分け方について紹介していきますので参考にしてみてください。
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知っておきたい代表的な着物の生地
季節に合わせて素材を選ぶ
着物の織りがなぜこんなに種類があるのかといいますと、それは季節に合わせて着るものを変えるためです。もちろん季節だけが理由ではありませんが、日本には1年の中で気候や風景が大きく変わりますので、そういった意識を強く持ちやすくあります。
厚手のものを選んだり薄手ののものを選んだり、格式高いものやカジュアルなものを、季節や気分に合わせて選ぶことができるのも着物の魅力になります。
着物の織りがどの季節に適しているのか知ることでコーディネートの幅が広がりますし、着物がもっと楽しくなります。
春
陽光の輝きが増し、木々の芽吹きに勢いが出る春は、いち早く薄手の素材に手を通したくなります。これは洋装でも和装でも同様でしょう。
着物の素材の場合は、縮緬なら厚みがなく、しぼも控えめなさらりとした質感の一越縮緬や紋意匠縮緬など。光沢のある
綸子や繻子、御召も春に好まれる素材です。
着物の下に着る長襦袢は、しぼのある涼しげな楊柳や錦紗などが肌に心地よく、帯は塩瀬、生絹(精錬していない生糸で織った布)、人によっては麻などをこの頃から身につけます。
初夏・初秋
裏地のない単衣の季節です。素材には、絽縮緬、絽紬、紬縮緬、絹紅梅、絹縮、上代絽、紗袷などがあり、これほど素材や織りに変化を持たせる時期はありません。その日の気温や体調によって微妙な素材を着分ける楽しみは、着物ならではのお洒落といえます。
盛夏
7月と8月の真夏は、単衣の中でも透け感のある素材を。麻、絽、紗、粋紗、麻縮、絹紅梅、綿絽、コーマ地などのほか、天然繊維のあらゆる素材を身につけることができます。帯も透け感のある絽、紗、羅、麻などに。
ただし、日本の夏は湿気が多いので、最優先させたいのは肌触り。そのうえで見た目にも涼しげなものを選びましょう。
秋・冬
寒い季節は何といっても、保温力の高い素材を。真綿紬、紬、古代縮緬、変わり縮緬、ウールなど、どっしりとした重厚感のあるものを選ぶと、厳しい冬も暖かく過ごすことができます。
紋意匠(もんいしょう)
生地の種類の1つである紋意匠は、絹織物である紋意匠ちりめんの総称のことになります。地模様のある生地のことを指しますが、地模様自体を指して使われる場合もあります。この紋意匠は、着物によく使用される代表的な生地となります。
ちなみに、地模様とは何かといいますと、生地に最初から入っている模様のことになります。普通は、生地に刺繍をしたり、模様を描いたりして人工的に模様をつけますが、地模様は何もせずとも組織の違いから生地独特の模様が生まれます。
紋意匠の地模様の特徴としては、艶のある光沢感です。訪問着や小紋、羽織といった様々な着物に用いられていますので、覚えておくべき生地です。
一越(ひとこし)
一越は、一越ちりめんの総称になり絹織物の一種です。ちりめんを織る時は、一般的に経糸に生糸を使い、緯糸に撚糸を1本ずつ打ち込みます。
打ち込んだ後は、精錬してしぼを出していきます。この、しぼというのは織物の表面につけられるちぢれのことになります。生地の表面は、しぼが細かくあり、ざらついた感じになっているのが特徴です。
一越は、高級感があって着崩れしにくい着物です。紋意匠と同じく様々な着物に用いられていて、季節や場面を問わず着られています。
綸子(りんず)
綸子は、絹織物の生地の一種になり、裏繻子で地模様が構成されているのが特徴になり、撚らない糸で経糸や緯糸を織ります。その後の作業としては、精錬してつくられます。ちなみに、裏繻子とは経糸と緯糸が5本以上で構成されており繻子織という織物になります。その表面は、緯糸だけが出ているものになります。生地は薄くて、手触りとしては柔らかくて滑らかです。また、光沢感がありますので、女性の着物によく使われています。
生地が薄いので、暑い季節にも着られる着物に用いられています。薄いとはいっても、真夏の暑さには着ることはできないので、季節の変わり目に活躍する着物になります。
緞子(どんす)
緞子は綸子と同様に、繻子織で模様を織り出した絹織物の生地の一種になります。先染の織物になり、一般的には経糸と緯糸が5本ずつの5枚繻子という繻子織です。特徴としては、異なる色の糸を組み合わせて模様をつくりだし、生地としては厚く、艶があり高級な雰囲気があります。
もともと男性が利用することが多かった織物でしたが、女性も帯地などで緞子を利用するようになっていきました。生地としては厚手になりますので、あまり暑い季節には向いていません。
縮緬(ちりめん)
縮緬は平織りの絹織物になります。最近は、絹だけでなく、綿やレーヨン、合成繊維などを原料にしたものもあります。
経糸に使われるのは撚られていない糸になり、緯糸に使われるのは強く撚られている糸になります。織った後に、煮沸させて精錬作業が済みますと糸に対して撚る力が働いて、生地の表面にしぼが現れます。ちなみに、この縮緬は、地方によってさまざまな種類が存在しています。有名なところでいいますと、丹後ちりめんや浜ちりめんなどです。
縮(ちぢみ)
縮は、緯糸に強く撚りをかけたものを織ってできる織物になります。織った後に湯に浸してもむと縮みますが、その際の表面に波状のしぼが発生することになります。材質としては様々なものが使われており、絹や綿、麻、合繊などが該当します。縮は、表面にできたしわによって、さらりとした感触になりますので、6月や9月といった単衣を着る時期に向いています。
絽(ろ)
絽は、経糸を2本をねじってそれを緯糸と一緒に織りこんでいき、緯糸を何本かおきに隙間を作る織物になります。この何本おきかによって種類が変わり、3本おきなら三本絽、5本おきなら五本絽、7本おきなら七本絽となります。この隙間によって通気性が生まれ、夏場でも涼しく過ごすことができます。ですので、暑さの厳しい季節に適した生地になり、透明感と清涼感を感じさせる質感となっています。
絽は、お茶席や結婚式といったフォーマルな場面に適していて、留袖や訪問着、小紋といった着物に使われています。
紗(しゃ)
紗は絽と同様に、厳しい暑さに適した生地になっています。織り目が非常に粗く網のようになっているため、通気性がよく涼しげです。刺繍を使って紋様をつけたり、紋様を織りあげたりするものがあり、この紋様を織りあげたものを紋紗といいます。
セミフォーマルといった場面でも紗を着ることができます。もちろん、カジュアルな場面でも着ることができます。紗は透けやすいこともあり、白い長襦袢を合わせることで透明感を際立たせることができます。
羅(ら)
羅は、紗をより複雑にした織物で、透けて涼感が得られる特徴を強く持っています。そもそも羅は着物に使われることはなく、帯に使われています。通気性がいいので、盛夏に締められることが多くあります。
上布(じょうふ)
上布は、手績みした細い麻糸を織った麻の織物になります。手績みとは、麻の繊維を細かく裂いてから撚り合わせる技術になります。特に7月や8月といったとくに暑い時期に、上布の薄くてさらさらした感触が気持ちよくあります。夏の着物として有名ですが、素材によっては6月や9月といった時期に向いているものもあります。
上布の種類は様々なものがあり、越後上布や近江上布、能登上布など地方を産地として古くから生産されています。
羽二重(はぶたえ)
羽二重は、普通の織り方で作られることはなく、細い経糸を2本使う特殊な織り方なので、軽くて肌触りがやわらかくなります。さらに光沢感もでてきます。そもそも、着物の裏地として使われることが多くあり、絹織物の中でも高級なものになります。
羽二重は、胴部分の裏地として使われますので、夏には汗を吸ってくれ冬には体を暖かくしてくれます。木綿や絹の着物に使われますので、1年中使われています。
化繊の着物
化繊の着物は、その名のとおり化学繊維を使って織り上げた着物になります。着物といったら絹が代表的な素材になりますが、そもそも絹の着物は、虫や湿気に弱く取扱いや管理の仕方が難しくあります。そういった事情もあり、特に若い人は管理の楽な化繊の着物を好む傾向にあります。
化繊の素材としてポリエステルになり、このポリエステルの着物は、1年を通して着ることができます。とはいえ、ポリエステルによっては、蒸れる場合がありますので、真夏には着づらいということがあります。
ウールの着物
ウールの着物は、丸洗いもでき、しわができにくいので、管理がとてもしやすいという特徴があります。
ウールも様々あり、シルクと混ぜたシルクウールや化繊と混ぜたものなどが存在します。ウールだけでなく他の種類のものを混ぜることによって、それぞれの特性を生かすことができるのです。ちなみに、2種類以上の繊維を混ぜることを混紡といいます。ウールのみだったとしても、カシミア何%、アンゴラ何%というような場合でも、混紡ということもあります。
着物の生地を作るまで
糸を作る
着物の生地を作るために必要な最初の工程は、糸を作ることになります。糸を作るためには、まず繊維を用意する必要があります。羊や蚕のマユからできるのは動物繊維になり、綿や麻などからできるのは植物繊維になります。
繊維の種類によって糸の作り方が違い、生糸の場合は、蚕のマユを煮ることによってほぐし糸を取り出します。真綿紬糸の場合は、マユをほぐしてから紡いで糸にしていきます。
着物の糸についてもっと知りたい人はこちら
着物に使う糸って何?!糸を知ると着物が身近に!糸を使って生地つくり
糸を織ることで生地にしますが、その際に織り機を使って織ります。織り機を使って織物を織ることを機織(はたおり)といいます。織り機として主なものは、地機(じばた)と高機(たかばた)の2種類です。
織り機は、縦糸を張ったところに緯糸を通していくという単純な機能をもつ機械なので、世界中に存在しています。
織りの種類は平織、綾織、朱子織の3種類
着物の織り方は、大きく分けて平織、綾織、朱子織の3種類になります。これらは、織物の基本的な3つの組織になり、三原組織と呼ばれています。
平織
平織とは、三原組織の中でも最も基本的なものになり、経糸と緯糸を1本ずつ交互に交差させる織り方になります。頑丈な織り方のため、他に比べて丈夫な生地が作れるのが特徴になります。その反面、滑らかさや光沢感をもった織物は作れません。
綾織
綾織は、別名として斜文織(しゃもんおり)と呼ばれています。その名前のとおりに、経糸と緯糸の交差点が斜めになって並ぶ織り方です。綾織にて織られたものを綾織物といいますが、代表的な綾織物としてデニムなどが有名です。
朱子織
平織や綾織よりも、経糸と緯糸の交差が少なくなり、片方の糸の浮きが多くなる織り方になります。綾織だと連続した斜め線が表れますが、朱子織は、連続ではないが規則的なペースにて線が表れます。
ちなみに、経糸を多く浮かせたものを経繻子と呼び、緯糸を多く浮かせたものを緯繻子と呼びます。
交差が少ないので平織のように頑丈ではありませんが、朱子織は滑らかで柔軟であり、光沢感を出せるのが特徴となります。ただし、摩擦に弱いのが弱点となります。
生地の違いを楽しむ
着物を作るには、まず糸を作り、その糸を使って生地を織っていくのですが、同じ種類の生地だとしても、地方によって経糸や緯糸の織り方や撚り方が異なってきます。産地ごとの特色が着物に表れているわけです。
特色がでた反面、種類が多くなりすぎ見分けがつきにくいという問題も実はあったりします。それに、手織りではなく機械織りの織物が多くなっているため、着物に詳しくないと区別がつかないことも珍しくありません。
着物は生地だけじゃない!文様も知ると着物が楽しくなる
着物の文様の意味を知らない?!着物好きにこそ知って欲しい文様の意味着物の生地の見分け方
もし着物についている証紙があれば、素材を判別するのは一目瞭然です。着物は、素材によって手入れする方法が変わってきますので、生地の見分け方を把握しておくととても便利です。
また、触ってみて素材が分からない場合には、繊維を燃やして判断するということも一つの手です。余っている布や目立たないところから糸を一本引き抜いて燃やしてみましょう。燃え方や臭いによって判断することができます。
絹の見分け方
絹の最大の特徴は、滑らかな手触りになります。ポリエステルである化繊も似たような手触りですが、絹のほうがよりしっとりとしている感触です。汗をかいたときの違いもあります。絹は、汗をかいても肌に張り付くようなことがありませんので、着心地が良く着ることができます。
また、感触や着心地の違いのほかに重さがあります。化繊は、絹に比べてやや軽くあります。
もし、触って分かりにくい場合には、着てみると違いが分かりやすくあるかもしれません。
絹の燃え方
絹を燃やした時の特徴は下記のようになります。
- 火をつけた部分が早く燃えて、燃え広がらずにその部分だけがチリチリになる
- 燃えた部分が黒い塊になり手で簡単につぶれる
- タンパク質を燃やした臭い(髪の毛を燃やしたときと同じ臭い)
絹は、蚕の糸から出来ているので髪の毛を燃やした時と同じような燃え方をします。
木綿や麻の見分け方
木綿と麻というのはとてもよく似ています。木綿は、柔らかな手触りが特徴となります。普段着の着物によく使われていることも、見分けるポイントになります。麻は、手触りとして若干ゴワゴワしているのが、見分けるポイントかもしれません。麻は染色に適していない素材なので、比較的落ち着いた色合いが多くあります。
ウールの見分け方
ウールは、毛糸なので毛羽立ちを感じることができます。この毛羽立ちは、他の素材ではまず感じることはないので見分けるポイントになります。肌に触れた感触としましてもチクチクしますので、もしそのように感じたらウールと思って良いでしょう。そして、比較的冬物の着物に多くみられる素材となります。
ウールの燃え方
ウールの素材ももとはタンパク質なので燃え方は絹と同じです。絹と違って燃やすと嫌な臭いがするのですぐ分かるかと思います。
化繊の見分け方
科学技術の進歩に伴い絹とよく似た手触りになり、化繊を瞬時に見分けるのは、着物に詳しくないと難しいかもしれません。判断するポイントとして、触れたときに乾いた手触りを感じたら、化繊の可能性が高くあります。
化繊(ポリエステル・レーヨン)の燃え方
ポリエステルの燃え方の燃え方
- 黒煙を出しながら溶けて燃える
- 燃えると黒い塊になる。塊は冷えると堅くなる
- 独特の臭いがする
ポリエステルの素材は石油で出来ています。ビニールやペットボトルを燃やした時の同じような燃え方をします。
レーヨンの燃え方の燃え方
- 紙と似たような燃え方でぱっと燃えあがる
- 紙を燃やしたような臭い
- 白い灰になる
レーヨンの素材はパルプなので、紙を燃やしたときと同じ燃え方をします。